Life in Japan as an An English teacher’s

現役中高英語教員が生きていくあれこれを紹介。興味のまま、雑多に紹介します。A blog about various ideas by a Japanese English teacher in a Japanese school.

新書を活用した授業

f:id:outowander:20210604133434j:plain


日本の新書を使った英語の授業

たいていの場合、中高生に新書のイメージを聞くと、「おもしろくなさそう」「難しそう」といった返事がかえってきます。ただ、そもそも新書といって、何かが思い浮かぶだけ、その生徒は、本をよく見ている方です。ほとんどの生徒に、とって新書とは、馴染みのないものです。多くの場合、読書というと、小説などの物語を思い浮かべますが、新書は英語の授業では、非常に取り扱いやすい書籍です。実際に授業で授業で取り扱ってみると、「読むのをやめなさい」、といっても食い入るように読み込む生徒も珍しくありません。こんなに魅力的なものが、教材として活用できないわけがありません。

 

f:id:outowander:20210604133618j:plain

新書

新書とは、日本独自の書籍形態で、決まったルールがあるわけはありません。ただ何となく、①ノンフィクションであること、②同じ出版社で類似のカバーであること、③ソフトカバーの割と小型の本であること、などが共通点としてあります。名前にも含まれる「新」は、確かに出版当初は、新しいものは、ありますが、~年経ったら新書ではなくなるという明確な線引きがあるわけではないです。授業で取り扱うものは、15年前までの比較的最近のものを使うように心がけています。

 

f:id:outowander:20210604133733j:plain

日本のアイディア


新書の著者は、基本的に日本人です。そして新書は日本語で、日本人向けに書いたものがほとんどです。つまり身近な人物が、身近な世界について、日本人として、どうとらえ、どう伝えているか、が書かれています。新書を読むことによって、日本的なアイディアとは何かを学び、身近に感じていたことをどのように日本語で表現するのかを学ぶことができます。また身の回りのことを言語化することによって、それまであいまいな認識だった出来事や現象、果ては、ことばそのものを理解できるようになります。

 

f:id:outowander:20210604133915j:plain

英語版がない


新書は日本語でのみ書かれていることが、ほとんど、ということは、グローバル的に見れば、それは、日本語を読む能力がある人にだけ、与えられた特権です。この独特な文化・知見を45倍の人口を対象にした英語で伝えることができたとすれば、その可能性は同じく45倍になります。新書を通じて、どんな考えを選び出し、何を伝えるべきかというヒントを得ることができます。日本の考え方を世界の人々にシェアできる能力。考えただけでワクワクします。

 

f:id:outowander:20210604134217j:plain

決まったフォーマット


新書を授業で扱う最大のメリットは、類似したフォーマットだということです。たいていの新書が、タイトル、目次、あらすじ、あとがき、著者情報というページを含み、各章がテーマごとにわかれ、丁寧なものであれば、小見出しがついています。そのため、何冊か新書を体験するうちに、新書の扱い方に慣れていき、より上手に必要な情報を読み取ることができるようになります。また、小さなトピックがまとまって、一つの章をなすため、部分的な抜粋が比較的簡単におこなえます。このわかりやすい構造が、書籍の理解度や授業での扱いやすさを生みます。

 

整理された幅広いジャンル


新書の定義が曖昧であるが故に、何について書いてあるかは、とても幅が広いです。物語以外すべて、と言っても過言ではありません。その新書がどのジャンルであるかを認識することで、どの分野に自分は興味があるのかを知ることができます。また反対に興味があると思っていた分野での本でも、書き方や難易度が自分に合わないがために、楽しめないということを知ることができます。選書(書籍を自分で選ぶ練習)もおこなうと、手に取る書籍の傾向が見えてきます。そうすることで、自己理解にもつながっていき、ますます、読み方が上手になっていきます。

 

f:id:outowander:20210604134343j:plain

著者紹介からのキャリア教育


新書を読むことで、自身の興味に気が付いた場合、著者紹介がキャリア教育として活用できます。新書を読んで、もっと学びたいという気持ちや著者に対する憧れが生じることは珍しくありません。その興味が生まれた際、著者紹介を読むと、その著者が、どの大学で、どの学部にいき、何を専攻し、どのようなキャリアを歩んで、その考えに至ったのかを知ることができ、自分自身のキャリア形成の大きなヒントになってくれます。場合によっては大学案内や学部リサーチよりも、理解が深まるかもしれません。

 

英語の授業として


英語の授業としては、読書、前・中・後に抽出した語やフレーズを英語にするのがお手軽です。具体的には、タイトル、キーワード、メインメッセージなどです。これらのことばやフレーズは、文脈を含んだ重みのある表現ですので、教科書のランダムな例文など比較にならない意味を持ちます。このようにして表現力を高めます。その他、本の予想、要約、プレゼンなど展開できます。

 

f:id:outowander:20210604134533j:plain

メインメッセージ


新書を扱う際には、必ずその著者のメインメッセージとキーワードを抽出することを、授業の中に組み込みます。メインメッセージとは、その本を進めるうえでの羅針盤の役割をし、頭に入れておくことで安心して先に進むことができます。